口には出せなかった自分の考え。



徹には決して決断できなかったのに、彰吾には素直にそう思えた。



だけど、彰吾はそれを絶対に認めないだろう。



いつか私に仕事を辞めさせたと。


自分の為に私が犠牲になったと考えるだろうと。



「お母さん、私ね」


「ん?」


「自分で絶対に考えを変えられないって思ってたんだ。でも、あっさりそれを覆すことが出来たの」


「いつ?」


「今日」


「そう。じゃあもしかしたら、菜月は探さなくても見つかってるのかもしれないわね」



穏やかに笑う母につられそうになる。