「きっと菜月は今結婚するタイミングじゃなかったんじゃない?相手も徹君じゃなかったんじゃないかな?」


「え?」


「何があったのかは聞かない。いつか話してくれるって信じてるから。だから菜月はこれから自分の為に頑張りなさい」


「頑張る?」


「そう。自分の気持ちに向き合って、そんな自分を受け入れてくれる人を探せばいいの。まだ若いんだから」



手に持っていた缶ビールを私のそれにカチンとぶつけた母はグビッと一気に飲み干した。


その飲みっぷりに苦笑しながら私も習って同じように喉を潤す。





――――仕事を辞めて彰吾について行きたい



確かに私はあの時、そう思った。