母は椅子から立ち上がると冷蔵庫の扉を開けていて。


振り返った彼女の手には缶ビールが2本。



こう言う時って母親の方がしっかり見てるんだと気付かされたのは半分ほど飲み終えた頃。



「正直ね、貴方達の結婚には無理があるのかなぁって思ってたの」


「無理?」


「うん。あっ、もちろん徹君はいい子だったと思うよ?何があったのかは聞かないけど」


「……うん」


「でもね、菜月がすごく無理をしてるんじゃないかなぁって思ってたの」


「私が?」



ビールをグビグビ飲む母親はプハァっとオヤジのように息を吐き出し、立ち上がるともうひとつ持って戻ってくる。