「言って?ちゃんと話して?」 「菜月」 「やだよ。こうして彰吾と向き合って話すの……初めてなのに。どうして?何?何隠してるの?」 「菜月……」 「徹との事はショックだった。だけどそれ以上に……」 「……それ以上に?」 伝えていいのか迷っていた。 数時間前と今。 同じ日なのに…… 私の気持ちはもう徹には向いていなくて。 さっき、どこかで鍵の音が開くのを聞いた。 それが…… 自分が6年前に閉めた心の鍵だと…… どこかで気付いていた。