「自分の中で気持ちの整理をしたかった。だから徹と一緒に行けなかったんだ」 「気持ちの整理?」 「徹にあの時、自分の気持ちをちゃんと伝えていればって……ずっと後悔してた」 前を向いたままの姿勢と表情はそのまま。 だけど、ハンドルに乗せられた手がギュッと握りしめられる。 その言葉と仕草に鼓動が少し早くなる。 「あの時、俺は菜月が好きだった……」 そう呟くように言葉を吐き出した彰吾に私は目が釘付けで。 だけど、鼓動は徐々に落ち着きを取り戻す。