今だ裏扉の前で大人しくお座りをしている黒猫。 どうしよう、と考えていると、再び裏扉が開いた。 そこから出てくるのはさっき顔を見せた男の人。 今度は黒猫とあたしを交互に見つめるのではなく、あたしだけをじっと見つめた。 暫し見つめた後、後ろ手に扉を閉めると、手に持っていた何かをあたしに突きつけた。 「…餌」 え…さ? 訳が分からないいきなりの言葉に、あたしは首を傾げる。 男の人の顔から手のひらに視線を移せば、そこには美味しそうなチョコチップマフィンがあった。