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「そういえば、思ったんだけど…
暑くないの、その格好…?」




思って見れば、狐燈はいつも黒いスーツで、見てるだけでも暑い。





「はい。
これでも妖怪ですので」


「…そうなんだ…」


「それに、貴方がいるにも関わらず
暑いなんて誰が言えますでしょうか」




そう言って、軽く胸に手を当てながらあたしに笑顔を向ける。




いや…


そこはぜひ言ってもらいたいんだけど…




…見てるこっちがあつい…




はぁ、と息をついた時、コンコン、と何かを叩く音が響く。




どこだ、どこだ。と見渡すと、取り付けベランダの手摺りの上に器用に乗っている少年が見えた。