「はい。貴方が、です」
と、あたしとは反対に彼はニッコリ、と笑って返してくる。
「え、っと……」
その言葉に、あたしがさらに呆気にとられていると…
「…ああ、申し遅れました。
私は狐燈(ことう)と申します」
思い出したかのように、狐燈と名乗った彼はペコリ、と綺麗なお辞儀をした。
いや、そうじゃなくてさ…
…ん…? まてよ…
「……もしかして…
夢の中に出てきた声って…」
「はい、私ですが」
平然と言って、ニッコリ、と笑った。
…な、なんてことだ…
さっきから全然頭がついていかない…。
「千秋さま」
―――さま!?
なぜ夢に出てきたのか、とか。
ぐるぐると考えていた時、狐燈という人の一言であたしは一気に我に返った。