「お前には、ひどく辛い思いを
させてしまったのは、わかっている」





―――あんたって、能無しね




…チガウ




―――お前みたいなのがウチの子なわけがないだろう




…違う!





なんで、こういうときに限って嫌な、忘れたい記憶を思い出してしまうんだろう…






……あれ…?そういえば…昔…


嫌なことがあって、泣きながら家に帰っている途中…


すでに廃れた一つの神社の近くで倒れている男の人に会った気がする…。




『大丈夫?』と聞いたら

とてもとても哀しそうな……


いや、寂しそうで色を映さない瞳で。


…でも、凄く綺麗な、青く澄んだ瞳を向けてきたんだ。



それで、ついあたしは聞いてしまったんだ…




『あなたは、幸せだった?』って。



すると、彼は…すごく驚いた表情をあたしに向けると、言ったんだ。




『     』と。






……それじゃあ、やっぱり…っ




勢いで立ち上がると、目先の父親は、何事か、という風な表情であたしを見据えた。