「───おい、行くぞ」 せっかく感傷に浸ってたというのに こいつというヤツは… とりあえず「わかってるよ」と眼で示す。 「あ、じゃあ、あたしそろそろ行くね!」 「うん、またいつでも来なさい」 その言葉に。 「ありがとう!」 と叫んで、廊下をダッシュし始めようとした時。 あ、と思い出したあたしは急いで踵を返す。 「これ、あとで読んで!」 先ほど、おじいちゃんの書斎で見つけた手紙をポカン、としている雅に押し付けた。 封筒は全部で二通あった。 一つはあたし宛て。 もう一つは雅宛てとして。