辺りは、もちろんもう真っ暗闇だ。








小さな灯りが照らすここで、不審者はペラペラ喋っていくけど…




ぶっちゃけ、右から左に抜けていってしまう。







つまり、あたしには理解不能だということだ。









「ねぇ、木村くん…。
あたし帰っていい?」



「…は?」



「なんか、今日はもう寝たい気分」







ああ、と頷く木村くんも同じ気持ちだったらしい。




その表情はとても困ったように引きつっていた。









と、そんな時だった。









「千秋さま…!」






「雄飛」









今度こそ間違えない凛々しい声と、鈴の音のように艶かしい声が、同時に響き渡った。