「若菜?」


「はひっ!」


思いもよらぬ呼びかけに声が裏返る

しかも声の主が…


「晶…」


さっきあっちにいなかったっけ?


「どうした?体育委員の誰かに用か?」


「へ?体育委員…?」


「そ。本部は体育委員がしきってんの」


「へぇ…」



なるほど…と一人納得


「で、誰に用事?俺?」


「え…っと…」


違うけど…うぅ…

ここで夜弥くんを呼ぶとややこしくなりそう……

晶がヤキモチやいて




「あぅ…ねぇ晶、ご褒美何がいい?」


「え?ご褒美って……あぁリレーのか」


「うん。そう」


「若菜が決めて?」


「だから、決められないから聞いてるの!」




あたしにそーゆーのは無理!

考えるのは苦手!



「…じゃあ…」


晶が遠慮気味に口を開いた


「……………なんでもいい?」


「あたしが買えたり出来たりするものなら」


「うーん…」


言うか言うまいか迷ってる感じ


「………ほしい…」


「え?何がほしい?」


「……が…」


「へ?」



今ちょっと聞こえたけど…

聞き違いかな?




腕を捕まれて引き寄せられる




耳にかかる晶の、息

熱い、息

その息と一緒に聞こえた声




「若菜の…キスがほしい」




いつもよりわざと声を低くして囁く



…もう、頭が機能しませんっ