普通が好き。


「あー紙挟まってんじゃねーか。まー…機械が古いってのもあるが、曉、気をつけろ」

「ごめんなさい…弥弌…」

小動物みたいに謝る松坂さんは、凄く申し訳なさそう。

「まーいい。薊、ちょっと手ぇ貸せ」

「…はい」

「ほら、俺が持ち上げるから、あそこに挟まってる紙取れ」

弥弌くんは、機材を持ち上げ、私を中に入らせた。

「これ…すんごい…絡まりかたですが」

「早くしろ…正直重い」

チラリと見ると、弥弌くんはキツそうにしている。

「はい」

私は素早く紙を外した。
その時、少し手先が切れたけど、気にはしなかった。

ガシャン

「フーッ…重かった…」

「薊ちゃん、ありがとぉーっ」