「待てよ」 俺は女の手を掴んでいた。 女がびっくりしたように、振り返った。 「駅前のビルの中にZEROっていうバーがあるんだ。そこで待っててくれない?」 女はびっくりしたように目をしばたかせたが、すぐににっこり微笑みを浮かべた。 「気が向いたらね」 男女の駆け引きをうまくこなす女は好きだ。 こっちがしかけても、うまく交わす女はもっと好き。 俺の考えを危険と捉える者もいるだろうが、そう考えないと恋愛なんてやってられない。