だってそうじゃない。

連絡をやめたり他の女と会うなんて。冷めたんじゃなきゃ、気を引くためとしか思えない。


「そんな回りくどいこと、しないよ」


空人はため息まじりに呟いた。


「自分に自信が持てなくて、怖くて、逃げてたんだ」


わずかに口ごもりながら、ぽつぽつとそう告げた空人。

その時気づいた。
空人の弱音を聞いたのはこれが初めてだって。


「なんで、怖いの?」


あたしがそう聞くと、空人はきゅっとあたしを抱きしめる腕に力をこめた。


「智子さんに見限られるのを想像しちゃったんだ。智子さんに、やっぱりもう会わないって言われるのが、怖くなった」


いつも自信に満ちていて、当たって砕けろを地で行くような空人。

空人がこんな風に思うなんて、想像もしなかった。