走って帰ろうかと思ったけど、家はいっちゃんと一緒なわけで。
そのまま帰ったら、すぐにいっちゃんも帰ってきて鉢合わせやんか。
こういう時一緒に住んでるって不便。
なにさ。ウチはめちゃめちゃ怒ってんねん。
雨はパラパラと落ち出して、頭にもわかるくらいの粒の大きさになる。
マンションに続く曲がり角は曲がらずに、そのまま真っすぐ走って近くのさびれたファミレスに入った。
来店のベルが鳴って、ウェイトレスさんが出てくる。
ぐしょって濡れた来客に、とびっきりのスマイル。
「おひとり様ですか?」
「あ…はい。」
「お好きな席へどうぞ〜!」
店内はガラ空きで、向こうの方に本呼んでるおじさんと、勉強してる学生がチラホラいるだけ。
ドリンクバーだけ頼んで、窓際の席に座る。
1杯目、ブレンドコーヒー。
…今日は絶対、帰ったらへんし。反省しろ、いっちゃん。
窓に映る自分の顔を見たら、雨にぬれて化粧が右っかわだけ変にはげてた。



