そうっと近づいていったら、どうやらその片方はいっちゃんらしかった。
…なんや。おった。よかった。
ホッとして、近づこうとした瞬間。
「はぐむ大丈夫〜?」
…かわいい女の子の声がはじけて、足が止まってしもうた。
はぐむ。志波 育。
いっちゃんの、下の名前。
「……あ〜。うん、なんかだいぶマシになったかも。ごめんな」
「ええよええよっ!ちょうど涼みたい気分やったしさぁ」
ぎぃこ、ぎぃこ、ブランコがゆれる。
静かな夜に、ふたつの影。
…どうしよう。なんか、声かけるタイミングがわからへん。
でもこんなん立ち聞きみたい、やし。
「…なぁはぐむ、知っとった?」
「ん?」
いっちゃんの、ちょっと寝ぼけたみたいな声が聞こえた。
よく休日の昼下がりに聞くような、そんな。
「あたしなぁ。…1年から2年にかけてくらいかなぁ。」
ぞわ、って。
心臓の裏っかわが、撫でられるみたいな。



