「アヤちゃんとお前はこれを機会にせいぜい親睦を深めること!じゃーな」
「お…おう」
敬礼みたいにおでこの前でビシっと手をかまえるいっちゃん。
それにつられて神崎くんとアヤちんも敬礼。
ウチもしようと思たけど、顔がブサイクなことなっとるなーってわかるから、いっちゃんの首におでこをぎゅっとくっつけた。
体が揺れる。
いっちゃんが歩くたびに響いてくる振動。
歓声がどんどん遠ざかる。
首に回した手に力入れたら、いっちゃんもウチをかかえる手にぎゅっと力を入れた。
…ええの?いっちゃん。
試合、これからええとこやのに。
いっちゃん、楽しみにしとったんちゃうの。
久しぶりの野球観戦やったんやろ?
ウチ、いっちゃんがカレンダーに赤ペンで丸つけてたん、知ってるよ。
息を吸ったら、ぐすって鼻が鳴った。
「…どしたん、泣いとるん」
「泣いてないし」
「ウソつけ。大丈夫か?ホンマ」
「…大丈夫、じゃ、ないし。めっちゃ、」
そう言うたら泣けてきて。
悔しくて恥ずかしくて嬉しくて…泣けてきた。



