駅についたときには、地元から出てきたおとうさんがもう先について待ってた。
おかあさんが来たときと同じ。
すぐにおとうさんやって気付いた。
…だっておとうさん、めちゃめちゃキョロキョロしとるねんもん。
なんでそんな忙しそうなん、首。
首止まってる瞬間ないでな。
「おとうさん!」
「おとうさん、お久しぶりです」
いっちゃんとふたり、くるくるきょろきょろしとるおとうさんに近づく。
おとうさんはめっちゃ安心した顔になって。
ふにゃってほっぺたを左右にゆるませた。
「みとも!いっちゃん!!よかった〜!おとうさん、降りる駅まちがえたか思たわぁ」
…この様子やと、あの、いきなりおとうさん一人で突撃訪問してったときはそうとう迷ったんやろなぁ。
その時もやっぱり、首くるくる、目ぇきょろきょろさせて。
はたから見たらちょっとした不審者やでな。
…おとうさんにこうやって会うのも、ちょっと久しぶり。
何度か実家には帰ってたけど。
この前よりもおとうさん、肌が焼けた気がする。



