音を立てて飛んで行ったのは、赤い風船。
さっきまでいっちゃんの手の中でまっすぐ、気をつけの姿勢をしてた、あの子。
頭にポン、て、重みがのっかる。
「…みとも、大丈夫?」
…びっくりした。
だってな。すぐ隣に、心配そうないっちゃんの顔があってん。
…なんで。
息がつまる。
…なんで、いっちゃん。
ウチ、なんも言うてへんやん。
なんも言うてへんし、笑ってたやん。
…やのに、なんで。
「い…っ、」
いっちゃん。
名前を呼ぼうとして、顔がゆがんだ。
いっちゃん。
…気付いて、くれた。
前後で離れた席やのに、試合中でテンション上がっとる中やのに。
ウチがなんも言わんでも、気づいとってくれた。
目の奥が熱くなる。
いっちゃんはひょいっとウチの腕をとると、軽々と背中にせおって立ち上がった。
「いっちゃ、」
「ごめんな〜おふたりさん。ちょっとおれら、ふたりで先抜けるわ」
「「へっ!?」」
神崎くんとアヤちんが、目を真ん丸にしておそろいの顔をする。



