みんなの手に風船が配られていく。
野球観戦ではお決まりの。
7回裏に、応援の意味を込めて放つ風船。
受け取ったか思たら、あっという間に膨らまし終わるいっちゃん。
野球バットみたいな、長細い風船が空に向かって伸びとる。
ウチも膨らまそう、て口つけたけど、全然力が入らへんかった。
…強い息、出せへん。
腹筋力入れたらお腹よけい痛なるもん。
意識せんとこうと思うのに、どんどんひどくなってくように感じる。
「あかん〜!全然膨らまへん〜っ!!」
「え〜?しゃーないな、貸してみ…てアヤちゃん、グロスでべたべたやんけ!」
楽しそうにはじける笑い声。
じわ、じわ、じわ。
おっきく広がって行く痛み。
どうしよう。
うまく笑えへん。
どうしよう、でも言い出せへん。
みんなせっかく楽しんどるのに。
ウチが具合悪いなんかゆうたら雰囲気こわしてまうやんか。
言えへん。
お腹痛いとか、めっちゃかっこわるいもん。
ぴゅー。
ぎゅうっと目をつぶったとき、頭の上でそんなまぬけな音がした。



