「───さみしい」






息がつまった。




…小さく落とされた、はじめての言葉に。





「…ごめんな。こんなん言うつもりやなかって…でも、今だけ」




…いつだって、どんなときやって。



弱音とか、愚痴とか、消極的な気持ちになってしまうんは、ウチの方で。



疲れた顔を見せたことないいっちゃん。


いっつも笑って。弱いとこ、なかなか見せへんいっちゃん。





さみしい。さみしい。



みともがおらんくなってまうの、めっちゃさみしい。



毎日こうやってひっつけんくなるん、さみしい。



毎日帰って、みともの「おかえり〜」がないん、さみしい。





なぁ。







……めっちゃすきや。みとも。















──愛しくてしかたなかった。




いっちゃんの首も、皮膚も。


ちょっと曲がったくすりゆびも。


どこもかしこもあったかいいっちゃんの中で、ゆいいつ冷たい、鼻先も。




声も。



ウチの名前を呼ぶ声。空気をふるわす低い声。