おとうさんが言うてくれたみたいに、いっちゃんはウチのもの、てワケやないんかもしれへんけど。
…でもな。
「いっちゃんのこと、めっちゃ好きな気持ちは負けへんよ!」
グラウンドは、もうすっかりお昼休みな雰囲気。
水色の紙袋を提げて、いっちゃんのチームのたまり場っぽいところを遠目から見てみたものの。
…いっちゃんが、見当たらへん。
どこいったんやろ。
辺りをキョロキョロ見渡していたら、ガシっと後ろから両肩をつかまれた。
「ひっ……!?」
「よっ!みともちゃん久しぶり〜」
「神崎くん…!!」
振り返ったら、ニカっと笑った神崎くんがおった。
ちょこっと久しぶりに見る顔。
全然変わってへん。…って、ほんの数か月でそんな変わらへんか。
「久しぶり!神崎くんもやっぱり今日出てたん?」
「あ、うん!俺2回戦から出る予定やねん。人数多いしな〜」
「そっかぁ。あ、アヤちんは呼ばず?」
「え……呼ばんよ、恥ずかしいやん。絶対アイツ騒ぐし。」
「…そういうもんですか。」
「……そういうもんです。」



