ずんずんずんずんずん。
何かのゲームのキャラクターみたいな足取りで進んでいくおとうさん。
いきなり現れた中年オヤジに、女の子たちは唖然としとる。
「お、おとーさ…っ!?」
「〜いっちゃ……し、志波くんはっ!!」
おとうさんは直立不動で女の子たちの前に立つと。
ものごっつおっきな声で、言い放った。
「志波くんは、娘のもの!!です、ので、だ…ダメですっ!!」
……ぽっかーん。
たぶん、その場の状況ひとことで表わすとしたら、そんなかんじ。
ダメですっ!!って、おとうさん。
声裏返ってるし、おとうさん。
っていうか、明らかに挙動不審やし、おとうさん。
「……ふっ」
気が付いたら、ふき出して笑い泣きしてた。
あはは、あはは、て。
お腹にずーんてきてた気持ちが、声に変わって体から出ていく。
角を曲がって、水道場へと真っすぐ歩いて行く。
あんぐりと口をあけたままの女の子たち。
固まったままのおとうさんの腕をとると、涙を拭きながら言った。
「…ウチな。」



