あんな。めっちゃ、だいすきです。



しゃーないからおとうさんも一緒に連れて、水道場に向かう。


それにしても、どうやっていっちゃんに渡そうかな。

チームメートがわんさかおる中に入って行くんはちょっと気が引けるなぁ…。


そう言えば、ソフトの試合なんやからもしかしたら神崎くんも出場しとるんやろか。


それやったらアヤちんも誘ったったらよかったな。



…あ、おにぎりの袋、あった!!



水道場のそばの曲がり角に、持ってきた水色の紙袋を発見。


取りに行こうとした瞬間。



「さっきの子が志波くんの彼女?フェンスのとこにさぁ、おったやん」



…曲がり角の向こうで聞こえた声に、思わず影に隠れてしまった。


志波くんのかのじょ…、て…。え?



…もしかして、ウチの話?



見えるのは、数人の女の子の靴。


かわいいリボンのついた、ヒールの高いミュール。



「え、全然フツーやん!」

「ユキのが断然かわいいし!いけるって!!」

「ええ〜?そうかなぁ?」

「告白しちゃえ!!だってもうあと何カ月かで卒業やで?」



高くてかわいい声たちが耳に入り込む。



な…なに………?



…動けへん。


固まったまま、背中がすぅって、寒くなるのを感じた。