「きゃ〜!!志波ぁ!!」
「ナイスバッティング!!」
…え、うわ。
ホームラン、や。
一気に盛り上がる女の子の中、ウチはひとりぽかんと口を開けてつっ立ってた。
1塁。2塁。3塁。
引き締まった足は悠々とベースを踏みしめていき、ホームイン。
…いっちゃんが、振り返った。
その顔はめちゃめちゃ嬉しそうで。
惜しげもなくさらされた、満面の笑みで。
何なん。なんか、
…なんか。
「────────、」
…そんなん、ずるいでいっちゃん。
試合はトーナメント形式で、第2回戦は昼休憩のあとやった。
朝から早起きして作ってきたおにぎりは、水道場の近くの日陰に非難しとる。
ちゃんといっちゃんのリクエスト通り、ハンバーグおにぎりやで。
…野球ボール以上にデカなってもたけど。
「ちょっと取ってくるな!!」
「えっ!?お…おとうさんも行くで!」
「べつに待っとってくれたらええよ」
「え…えぇ〜!!…だってさぁ…こんな女の子ばっかりのとこ居心地悪いやんか…」
…男子校育ちの中学生か!!



