ピーってホイッスルが鳴って、野球帽がいっせいに真ん中に集まり出す。
赤・黒・黒・赤。
赤い帽子がいっちゃんのチーム。
いっちゃんが走っていく。
はじめて見た、いっちゃんの姿と、それを囲む風景。
その背中に、心の中でテレパシー。
いっちゃんー。
こっち向けー。
気づけ気づけ気づけ気づけ気づ、
―――わ。
いっちゃんがかぶってた帽子取って、ウチに向かってふってくれた。
お日さんみたいな笑顔。
…あ、でもちょっと照れてる。
へへ。
先攻はいっちゃんたちのチーム。
チーム名、今まで知らんかったけど…どうやら『ママレードボーイズ』ってゆうらしい。
なんかそんなキュンてするマンガあったな。
…っていうか、もうちょっとマシなん無かったん。
ツーアウト2塁、あっと言う間にいっちゃんの番が回ってきた。
4番バッターのいっちゃんは、ぐるんてバットを1回振ったあと、バッターボックスに踏み込む。
いっちゃんは昔甲子園目指してたくらいの球児やったから、打つのも得意、らしい。



