広がるのはグラウンド。
私服に野球帽をかぶった、男の子たち。
「……あ」
──いっちゃん。
グラウンドの向こうの方に、大口開けて笑っとるいっちゃん発見。
白いユニフォームが目にまぶしい。
白地に赤線が入ったユニフォームは、家で見たときはそんなかっこよく見えんかったのに。
…青空の下で見たそれは、めっちゃ、いっちゃんに似合ってた。
「おーいっ!!いっちゃーん!!」
「ちょ……っ!?」
そんなことぼんやり考えながら見てたら、隣のおとうさんがいきなり大声出してった。
…いっちゃーん、て。
「〜な…っ、何してんの!?」
「え、だっていっちゃん気づいてないで?せっかく彼女が──」
「〜ええねんっ!!ええからそんなんっ!!」
うわぁ。
周りの女の子からの視線が、めっちゃ痛い。
なんかヒソヒソ言われとるし。
ウチとおとうさん、クーラーボックスの上やし。
しかも、当のいっちゃんは気づいてないし。
友達と爆笑しとるし。
…おとうさんのアホ。アホトトロ。



