よし!と納得してキャップをしめると、腕に何かがぶつかった。
「……っうわぁ!?」
「ただいま……」
「お…おとうさんいつの間に帰ってきてたん!?」
のっそりとななめ後ろに立っていたおとうさん。
方向音痴のおとうさんもようやく半径30メートル周辺の地理はわかってきたらしく、1人で気分転換に散歩に出かけとった。
びっくりしとるいっちゃんとウチに向かって、おとうさんは自慢気に、
「やからおとうさん、存在消すの得意やねん」
…やからそれ、なんの自慢にもなってへんって。
「……あ。」
おとうさんの目線はウチを通り越して、そのまた向こうを見てる。
辿りつく先はカレンダー。
のっそりと前のめりになると、おとうさんは先ほどちょうどウチがバカにしたばっかりのいっちゃんの落書きを指さして言った。
「…これ……」
「あっ!おとうさん!!それ、そのカレンダーの丸いやつ、何に見える?」
ニヤニヤ意地悪な顔で目を輝かせながら聞いたら、いっちゃんがちょっとすねるみたいな声を出した。



