うーわ。…なにゆうとるねん自分!
さわりたい、て。発情期やあるまいし。
「いっちゃんのエロ親父が移った……」
ぶくぶくと、お湯にもぐる。
目を開けてみたらお湯は透明で、色ついてなくて。
でも目が、しぱしぱした。
お風呂から上がってスウェットに着替える。
ハブラシをくわえながら、わしゃわしゃと髪をふいた。
さっぱりすっきり。
夏は体がベタつくから、お風呂上がりは余計にきもちい。
リビングからはテレビの笑い声と、いっちゃんとおとうさんの笑い声が聞こえた。
ほんま、仲良しやなぁ…
髪にタオルを当てたまま、風呂場の引き出しを開ける。
「…あれ?」
ドライヤーがない。いっつもここに入れとるのに。
あー、そういえば昨日おとうさんがリビングで使っとったような…。
「ったく…ちゃんともどしてよ……」
ぶつぶつ文句言いながら、ドアを開けようと手をかけた時やった。
響いてた笑い声がやんで。
おとーさんの、いつもより低い声が聞こえた。
「…いっちゃんは」
取っ手にかけた手が、思わずひるむ。
「みともの、どこが好きなんや?」



