いっちゃんと一緒に入る時は、まず入浴剤選びから始まる。
四種類くらい買いだめしとるから、そん中から今日の気分のやつ選ぶねん。
ゆずの香り、ミルクの香り、森林の香り、ピーチの香り。
最初は一緒に入るん恥ずかしくて、透明なお湯に色つけるために入浴剤使ってたんやけど。
いつの間にかお湯には入浴剤!が習慣になってる。ちょっとしたぜいたく。
「あー、うー………」
お風呂の中では声がよく響く。
意味もない言葉を呟いてみる。
…おとうさんといっちゃん、うまくいってるみたいで良かったけど。
明日も、一緒に入浴剤選ばへんのよな。
明日っていうか、1週間のあいだ。
きっと今日もベッドはウチひとりで、いっちゃんとおとーさんの男コンビは床。
いっつもは、おんなじベッドでぎゅーてされて寝てるから。
それに慣れとるから。
…たまに、暑苦しいけど。でも。
「さわりたい、なぁ…」
ふいに自分の口から飛び出た言葉。
その言葉に、自分でびっくりした。



