「ただいま〜」
そっからちょっとたって、いっちゃんがバイトから帰って来た。
いっちゃんはいっつも元気や。
バイト1日中入っとる日でも、疲れた顔とかせぇへんねん。
にこーって笑って、ウチにナイロン袋を渡す。
「ん。デザートに思て最中買ってきてん」
「…なんで最中とかおじーちゃんっぽいもんチョイスしたん」
もっとほら、プリンとかケーキとか!
最近発売したクリームチーズロールケーキとかさぁ!!
「え。だってみとものおとさん好きって聞いたから。ね、おとーさん?」
「あ、うん。ありがとういっちゃん」
流れるのはものごっつ自然な空気。
…いつの間にそんな話してたん。
ウチも知らんのに、そんなん。
でもまぁウチの分も買っててくれたみたいやから、ありがたくいただくことにする。
おじいちゃんぽい、とか思ってたけど、食べたら案外おいしいんよな。最中。
外はサクっで、中はしっとり、みたいな。



