「あん時ちょっとだけ運転代わったやんか。ほら、駐車場で」

「…そんなことあったなぁ」

「いや、あん時はほんま一瞬死ぬかおもたで」



いっちゃんがやってみる?って言うから、2年半ぶりくらいに運転席に乗って。


久しぶりの運転に緊張しすぎて、アクセル思いっきり踏んで車がヤシの木にぶつかりかけたねんな。


いや…運転もなぁ、しばらくせんかったらアクセルとブレーキどっちかわからんようにもなるって。



「まぁ、将来は俺がみっちりしごいたるから心配ないけどな〜」

「…どーぞよろしくオネガイシマス」

「気持ちこもってへんやろ。ヘマしたらワキくすぐりの刑やし」

「それ事故るからやめてか。」



はは、っていっちゃんが笑って、その声が何にもない広い部屋に響いた。


なんにもないと、音もよー聞こえるねんなぁ。



「みともが練習してなぁ、運転うまくなったら」

「うん?」

「…もっと遠くに、旅行いけるな。」



かわりばんこに運転して、車ん中で好きな曲かけて。


途中で眠くなったら、サービスエリアでコーヒーでも飲んで。

あ、アイスも食べたいな。


どこに行きたいかな。


北?南?東?西?


いっぱい行きたいとこあるな。



…いっちゃんとやったら、どこ行っても楽しいんやろうなぁ。