…いっちゃん。



それだけしか、聞かへんのやね。


無理に聞き出したりせぇへんのやね、いっちゃん。



でもウチが話したいときは、聞いてくれるやんね。


愚痴でもなんでも。


コップに八つ当たりしてこぼれたお茶やって、ふいてくれる。


今日やって偶然通りかかったから一緒に帰ろ〜みたいにゆうとるけど、きっと。



…心配して、わざわざ迎えに来てくれたんやろ?



ウチ、いっちゃんがおらな、とっくに心折れてたよ。


いっちゃんの笑顔とか、温度ってすごいなぁ。



何千万回、ウチを充電して。


使っても使ってもてもなくならへん、電池みたい。



「…なんかいっちゃんにしてもらってばっかりやなぁ」


ぽつり、バイクのうしろで小さくそう言うたら、いっちゃんにはちゃんと届いてて。



「そうか?」

「……だって」

「俺がみともに何かしたりたいだけやんけ。」



…ほら、な。

またそういうこと言うやろ。



ウチを充電する、いっちゃんの魔法のことば。