「…ちょっと休ませてか」
低い声に、笑顔がぐっとひるむ。
でも、主任さんに絶対今日中に聞けって言われたことがまだあるし…!!
「すいません、蔵本さんリハビリ後で疲れてるのに…あの、けど、もういっこ!もうひとつだけ、聞かせてもろても…っ、」
「〜ほっとけ!ゆうとんじゃ!!」
怒鳴り声に、空気が割れる。
ビリビリ、鼓膜がふるえる。
心臓、わしづかみにされたかと思た。
ウチはほんまそん時、どうしてええかわからんくって、固まってもて。
足なんか震えだして。
どうしよう、とか。
ううん。どうしようって、そんなん思うひまもなくって。
蔵本さんが、息を吐きだすのと一緒に低い声を出す。
「…ワシの病名は?」
「え…?え、えと……ひだり、大脳ラクナ梗塞って言って、」
「どういう症状が出るんや?」
「え…片麻痺、とか、あの」
「で?こっからどうなるんや?この病気は。どんくらいよーなるんや?合併症は?再発とかは?」
「…そ、れは、あの、人それぞれっていうか…」
言葉が、震える。
声が出てこおへん。
頭もぜんぶ、真っ白で。



