蔵本さんに向かって気をつけ。よし!!
「えっと、今日はいくつかお聞きしたいことがあるんですけど…じゃ、聞きますっ!!」
聞いていいですか?って質問系やったら絶対断られるからな!
イスも勝手に座るでな!強引やけども!!
「…………」
蔵本さんは相変わらず首ぐるーってそっぽ向いたまま。
…そんなにウチが嫌いですか、そうですか。
もうこんなん、開き直るしかないやん。
「…ええとですね、」
メモをパラパラ開いて、ボールペンを構える。
線の上に並んでるのは、前もって考えてきてた質問。
「病院生活にはもう慣れられましたか?困ったことなんかはないですか?」
「…別に」
「じゃあ…自宅に戻られてから、したいこととかってありますか?」
「…別に」
「……。今、洗顔とか歯磨きとかって、ご自分でされてらっしゃいますか?」
蔵本さんのぐるーって回ってた首が、ぐるーって。
反対方向に回って、ちょうどウチと、目があった。
…びっくりして、次の言葉がひっこむ。
だって、笑顔なんか、ひとつもない。
それどころか蔵本さんの顔には、表情すらなかったから。



