<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–

 ずりっ!~♪

 美雪が階段から左足を滑らす。

 手すりに摑まる余裕もない。
 声を上げる余裕もない。

 左足首に強烈な痛みが走る。捻挫よりはるかに痛い。

 しかし、それを感じる暇なく、右腕が階段につく。

 そのまま重たいランドセルを抱えたまま、ゴロンゴロンとあたかも地獄へ落ちるかのように転がり落ちる。

 転がり落ちるよりは、滑っていくっといった方が早いのか。

 そして、踊り場で止まった。


「うわ~~~ん。いたいよぉ!!」

 気が付いたら、桜は立ち止っていた。
 美雪の泣き叫ぶ声で、はっと我に返る。

 海翔たちのこと考える前に、体が自然と動く。

 危険な階段を、できるだけ早く下る。

 手すりにしっかり摑まって。