<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–

 直談判する。
 そう思うとまた走らなきゃ。

 走り続けててちょっと疲れたけど、体力を振り絞って全力ダッシュしようとする。

 美雪が階段を下ろうとしている。

 長く急な階段で、慎重に下らなきゃいけないのに。

 なのに、海翔たちのスピードは上がるばかり。

 彼らにとってのお荷物がいなくなったから。

 彼らは今、長い階段の踊り場。
 美雪との距離は遠い。


 美雪はもうくたくたで走れない。

 それに、急な階段。
 一歩踏み外せば大変なことに。

 桜が小一の時、一回・・・。

 ふと思い出がよぎった瞬間――