<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–

 後ろも気にしながら歩いていると、

「みんな急ごう!」

 海翔の合図で突然走り出した。


 
――おい、ルール違反!――

 言葉に出すのをためらう。
 もし出したら、またこじれるし・・・。

 そんな桜の気持ちとは裏腹に、海翔たちはどんどんスピードを上げる。

 桜も本気で走った時の三十パーセントぐらいの速さで走る。

 このままスピードが上がるかっと思ったら、そうじゃないみたい。

 海翔のすぐ後ろを歩く美雪が、スピードはブレーキをかけている。

 小一っというのもあるし、運動神経が悪いというのもあるみたい。

 当然ながら、美雪が付いていけなきゃ、後も詰まる。


――あ~あ、美雪ちゃんがかわいそう。――

 桜は同情のほか、何もできない。