あれから二日後。

 もう、桜と海翔、互いに言葉が交わせなくなった。

 廊下ですれ違っても無視。

 とにかく無視!

 これが当たり前となり続けるのか・・・。


 独り歩く帰り道。

 今日もまた、容赦なく冷たい風が吹く。

 春一番はどこへやら――

「ちょっと失礼。」

 何やら女の人が聞こえる。

 桜が振り返ると、やっぱり女の人。

 歳は、三十の半ばぐらいなのか。
 そんな人が、桜に用があるのか?

「あのぉ~?」