『大嫌い。』

 この言葉を聞いた瞬間、海翔は何も言えなくなった。

 もう気持ちが分からなくなって。

 でも、体が動けない。

 なんだか雷に打たれたようで。
 ずきっと痛い。

 そして、気が付いたら、桜は海翔から離れていた。

 追いかける気力はない。

 
 ただ空しさがわくだけ。

 理由は、後から考えればわかるだろう。

 でも、今はただ空しいしか感じない。

 冬の風が、二人の友情を吹き飛ばしたように思える。

 春の風が、戻してくれたらいいのだが。