どうすれば、足の早い海翔から逃げ出せるか。

 頭を使うしかない。

 でも、どうすれば・・・


 手をつかまれた。

 間違いなく海翔の手。

 しまったっと思いながら、止まって後ろを振り返る。

「やっぱ、桜は足遅いな。」
「遅くて当然よ。
 それより、手離して!!」

「離さない。」
「どうして?」

「だから・・・」

 また、二の句が継げない。

 こんな態度に、さすがに桜も腹立つ。