小五なのにまるで三年生並みに小さい海翔。

 既に日本人女性の平均身長を上回っている桜。

 身長的に海翔と目を合わせると、自然に海翔を見下しているように見える。

 いや、桜は絶対海翔を見下したいと思っている。

 絶対に、絶対に。

 

――桜をいじめて何が楽しい?――

 桜は、一回海翔から目をそらし、走って逃げようと思った。

 でも、海翔は足が速いから追いつかれるが。

 この嫌な雰囲気から逃げたい。

 無意識に願うこと。


「ごめんね、桜。」