その帰り、桜は友達と別れ一人で歩いていた。

 冬の風は、孤独感を増させるばかり。

 どこまで寒くしたら、気が済むのだろうか――


「桜。」

 後ろから、どこか聞き覚えのある声。

 後ろを振り返ると海翔がいる。

 ゲッとまずい顔をした。


「なっ、なんでここに?」

「普通に帰っていたから。」

 どこかぎこちない会話。

 いつの間にか、海翔は桜の横に並んでいる。

 ますます桜が嫌な気持ちになる。