<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–

 涙は底を知らない。

 底をつくことを知らない。

 大声をあげて泣きたいぐらい、この気持ちは収まりはしない。

 今は桜以外誰もいないが、もし誰かがきたらきっと気味悪がられる。

 桜だと分かれば、きっと・・・

 そう思うと大声で泣けない。

 ただ、ひっそりと声を殺して泣いている。


 き~んこ~んか~んこ~ん~♪

 チャイムが鳴った途端、涙を強くぬぐった。

 涙をこらえようとした。

 トイレから出て、鏡を見ると目が赤い。

 『目がかゆくなって、こすったらこうなった。』

 そういうことに決めた。