<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–

「冬谷さん。
 おとといの登校班で、まだ半数以上来ていなかったのに、先に行ったのはどういうことかな。」

 担任の先生の落ち着いた声。なのに、どこか心に迫る。
 登校班の話をしたせいなのか。

 桜は、頭が真っ白になる。

 うまく状況を飲み込めない。

 何も答えられない。

 先生がじろっと桜を見つめる。怒っているのか・・・


「ぎりぎり間に合う時間まで待ちましたが・・・
 来なかったから先に行っただけです。」

 
―― “こうなったら、みぃちゃんたちより先に行っちゃえ!”――

 確かに、先に行ったのは事実。

 でも、隠れられたり、勝手に先に行かれたり。
 卑怯なことをしているのは、海翔と美紫依たち。

 なぜ、自分が叱られなきゃいけないのか、そう思うと桜は悔しいさを覚える。