<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–

「はぁっくしょん。」

 冬晴れの昼休み教室。
 廊下側にいる桜は思わずくしゃみをした。

 ストーブがある窓際は近くにいると暑いのに、廊下側は扉を閉めても寒い。

 なんという不公平なことが。

 桜は温かさが恋しくて、ストーブへ行こうとする。


「冬谷さん、ちょっといいかな?」

 桜の担任がいつの間にか扉を開けている。

 それに驚く間もなく、言われるままについていく。

 と言っても、教室の前の廊下にいる。

 そのまま立ち止った。

 廊下もまた、いつくしゃみしてもおかしくない寒さだ。