「桜ちゃん。」

 小五のくせして、大人並みの服を着ている美紫依が振り返る。

 黒に近い茶色の髪、厚い生地の白いタートルネックに、黒いポンチョ。

 真冬なのに、ショーパンはいて、ニーハイはいて・・・

 それに、背が低いから、とても似合わないような格好だ。


「みぃちゃん。」

 桜はそんな美紫依の格好に気にも留めない。

 そもそも桜はそんなのに興味がない。

「なんで、桜達を置いて行っちゃったの?」

 美紫依は、なんというか、嫌なような、笑っているような、怒っているような―

「だって、遅いだもん。」
「遅い?」

 桜の頭に疑問だらけ・・・

 いつも、出る時間に出て一回も遅刻したことがない。

 なのに、なぜ“遅い”のか・・・