いつもなら、赤、黒、黄色、ピンクなどの色とりどりのランドセルが見えるはずだが。
 どうも、見えない。

「まぁ、気にしない。」

 桜は今はただ、見えないだけで、もう少し歩けば見えるっと思い込んでいる。

 だが、それは一瞬のうちに消えた。

「檀のいうとおりだぁ・・・。」

 いつもあるはずのランドセルがない。

 みんながいない。

 二人はまるで冬の風に魂をさらわれたように、唖然と、その場に立ちすくんだ。

 
「どういうこと。」


 時計は、まだ出発の時間をさしてない。

 なのにいない。

 勝手に先に行かれたとしか、思うことができない。