<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–

 海翔の手が、桜から離れた。

 暖姫はこれを見逃したわけがない。

 さっと引っ張り、

「うわぁぁぁぁぁ!」

 桜が悲鳴あげても、暖姫は気にしない。

 もちろん、桜は暖姫に反抗するつもりで言ってない。

 単純に怖いだけ。


「ああ、二人とも待って!!」

 希欧が走っている。

 やっと海翔のもとにたどり着いた教吾。
 二人の前を、気にも留めず通り過ぎる。

 二人は目が点になっている。
 何も声が出せない。